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【導波路中の光の伝搬計算】ビーム伝搬法

今回は「ビーム伝搬法」について解説していく。
まず、ビーム伝搬法(beam propagation method: BPM)とは、光導波路や光ファイバでの電磁波シミュレーションの方法である。

簡単に言ってしまえば、マクスウェル方程式を満たす波をどんなふうに伝搬するか計算しているのである。

目次

ビーム伝搬法:BPM

波動方程式

実際に解いていくのはマクスウェル方程式から導かれる波動方程式である。
また、電磁波の伝搬モードには境界条件次第でTEモードとTMモードと呼ばれる伝搬モードが存在するが今回は計算が実用的なTEモードでの伝搬を想定している。

この方程式を差分法という数値的に微分方程式を解く方法で計算するのだが、解をある程度予想して置くと計算が楽になる。そのため解を下のように予想する。

参照屈折率とかいう単語が記載されているが、今は特に気にしなくて良い。
このように解を仮定したのは、我々は光の振幅分布(強度分布)を知りたいから、伝搬方向の振動と振幅分布を分けただけである。すると波動方程式の二階微分の項は

ここで赤波線のところを0と近似しているが、これは実験において二階微分ほどの細かい振動は平均化されて見られないから0としているのである。

すると、波動方程式は下のようになる。

これを差分法を使ってとく。

有限差分法:FD-BPM

ここでは差分法の中でも基本的な有限差分法(Finite difference method BPM: FD-BPM)をつかう。
まずは、連続変数を離散化。ここで$p,l$ は$x,z$ 方向の位置を表す。

すると一階微分と二階微分との間で$l$についての差分中心がずれていることがわかる。
差分中心を一致させる必要があるので、以下のように平均を取ることで両辺の差分中心を一致させる。

このような差分中心問題の解決法をクランク・ニコルソン法(Crank-Nicolson method)というらしい。

今求めたいのは $z$ 方向への光の伝搬なので、$l$の成分を既知、$l+1$の成分を未知として項を分ける。

これを簡略化すると

透明境界条件

ここでファイバーの端での境界条件を導入する。
物理だと境界条件を=0などとすることが多いが、今回では=0としてしまうとこれは完全反射を表すことになってしまう。また、$z$ 方向に伝搬することを仮定しているので、反射は存在しない。ここで透明境界条件というものを導入する。

この透明境界条件から協会での方程式を導く。

この境界での方程式と内部で成り立つ式を組み合わせると、以下のような行列方程式でまとめられる。

この連立方程式を解くことで$l\Delta x$ から$(l+1)\Delta z$$ への光の伝搬が求まる。
申し訳ないが今回は数値的に解く原理のみを紹介しているので、これを解く方法の詳細を解説することはしない。一応、この手の行列方程式の計算はトーマス法という手法で光速に溶けるらしい。

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